涼しさを感じるためには、配色だけではなく、彩度や明度、モチーフ、余白の使い方など多彩なポイントがあるのをご存知ですか。
今回は、曼荼羅塗り絵皿アーティストの畠中あきこ先生に、夏らしい涼しさを感じる色使いやモチーフ、余白の持つ意味をお伺いしてみました。

伝統工芸で培った技術と、絵心がなくても取り組める手軽さを両立させた講座を主宰し、京都・嵐山の工房を拠点に、器やガラスへの絵付け、ワークショップ活動をしています。
青系だけが涼しさをつくるわけではない

「青系の絵の具を選べば涼しく見える」イメージがありますよね。ですが涼しさの印象を左右するのは、色相だけではないのです。彩度や明度、組み合わせるモチーフ、余白の使い方まで、いくつもの要素が関わって、「涼しさ」を演出しているのです。
彩度と明度で変わる印象
曼荼羅塗り絵皿の講座では、色相環を使った説明も座学に取り入れています。
同じ青系でも、彩度や明度の選び方で涼しげに見えたり、逆に重たい印象になったりします。鮮やかすぎる青は、涼しさよりも元気な印象が先に立つこともあるのだとか。少しトーンを落とした青や、白を多めに含んだ淡い水色を選ぶだけで、仕上がりの印象はやわらかく涼しげになります。
モチーフとの組み合わせ
どんなモチーフと組み合わせるかも、印象を左右する要素です。
畠中先生の作品には、曼荼羅と一緒に泡模様を添えたものがあります。青系の色味と涼しさを感じさせるモチーフを重ねることで、より涼しげな仕上がりになるといいます。
夏らしいモチーフとしては、向日葵や海を思わせる図案も人気を集めています。ガラス作品では、海の中をイメージして手がけた作品もあります。
涼しさを支えるのは、色よりも余白の使い方です

涼しげな印象のポイントは、配色だけではなく余白の使い方も大切です。
盛り付けを見越した余白づかい
畠中先生はもともと陶芸の世界で長年活躍なさってきました。「器は料理をのせて初めて100パーセントになる」という感覚をお持ちです。模様を隙間なく詰め込むと、逆に料理を盛りにくくなってしまうのだとか。
曼荼羅の模様自体は密度の高い図案ではありますが、お皿として塗るときは余白の使い方も大切な要素になります。ビッシリと塗り込むよりも、あえて余白を残すことで、涼しげな抜け感を演出しましょう。
同系色か、補色か
生徒さんの色選びにも、それぞれのセンスがあらわれるのだとか。青系や緑系などの同系色でやわらかくまとめる方もいれば、色相環で反対に位置する補色を組み合わせて、色をハッキリと際立たせる方もいらっしゃるそうです。
どちらが正解ということはなく、色相環の考え方を知っておくと、自分なりの涼しさの表現を見つけやすくなります。
今日から試せる、涼しさを感じる配色のヒント

絵心に自信がなくても取り組みやすいのが、曼荼羅塗り絵皿のよいところです。あらかじめ美しい線が描かれたアウトラインに、好きな色をのせていくだけなので、ワークショップでも、1作目から見栄えのする作品に仕上がる方が多いとか。
青系×夏モチーフの型
まず取り入れやすいのは、青系の絵の具を軸にしながら、泡模様や波、向日葵といった夏らしいモチーフを添える組み合わせです。色相だけに頼らず、モチーフとの相乗効果で印象をつくる、という考え方が参考になります。彩度を少し落とした青を選ぶだけでも、涼しさと落ち着きを両立させやすいそうです。
茶色や暖色とのバランス
茶色系の色味は落ち着いた秋のイメージにつながりやすく、夏にはやや暑苦しく感じられることも。
一方で秋のイメージもある黄色や赤は、夏に使ってはいけないわけではありません。差し色として少量取り入れる程度なら、夏らしい華やかさを添えることもできます。
ガラス素材という選択肢
畠中先生の作品にはガラスの絵付けもあり、夏はガラスを中心に制作することが多いのだそうです。先生が使っている絵の具は低い温度で焼成できるため発色もきれいに出るそうで、風鈴に曼荼羅を絵付けした作品も涼しげに見えます。専用の窯がなくても、家のオーブンで焼ける絵の具を使っているため、思い立ったときに気軽に試せるのも魅力です。
涼しさを感じる配色、3つの型
ここまでの内容を、取り入れやすい型として整理してみます。一つ目は、青系の絵の具を軸に彩度を少し落とす型。二つ目は、泡や波、向日葵といった夏らしいモチーフを青系と重ねる型。三つ目は、余白を残しながら同系色でまとめるか、補色でハッキリ際立たせるかを選ぶ型です。そのときの気分に合わせて、組み合わせてみるのもよさそうです。
おわりに
曼荼羅の色使いで涼しさを演出するには、青系の絵の具を選ぶだけでなく、彩度や明度、モチーフ、余白の使い方まで、いくつもの要素が関わっています。色相環を意識しながら好きな色を重ねていくだけで、1枚目から自分らしい涼しさが表現できます。
この夏は、涼やかな一枚に挑戦してみませんか。
免責事項
本記事で紹介している配色やモチーフの組み合わせは、畠中あきこ先生への取材内容をもとに構成したものです。
仕上がりの印象には個人差があります。
作品づくりの参考としてお役立てください。