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薬膳が教える「疲れ」と食材の考え方とは?「気を養う」食材5選

健康

体がだるい、気力がわかない、風邪が治りかけてもなかなか本調子に戻らない。そんなとき、おかゆや豆腐、うどんなど「消化に良いもの」ばかりを選んでいる方は多いのではないでしょうか。

しかし薬膳の視点では、疲れたときに食べるべきものの選び方は、「消化に良いかどうか」だけでは十分ではないと考えています。薬膳腸活スペシャリスト養成講座を主宰する小林基子先生に、体の内側から元気を取り戻すための食べ方をお伺いしてみました。

【監修】小林基子先生小林基子先生
薬膳スペシャリスト養成講座主宰。
料理代行の経験を活かし、薬膳×腸活×料理を組み合わせた独自のメソッドで講座を展開。多くの卒業生が食のプロとして活躍している。

疲れの原因は「気の不足」なので、「消化に良いもの」だけでは補えない


東洋医学では、体を動かすエネルギーの根源を「気(き)」と呼びます。気は、食事・呼吸・睡眠によって日々補われ、消耗と補充を繰り返しながら体の機能を支えるものと考えられています。

小林先生が主宰する薬膳腸活スペシャリスト養成講座の教材には、気の不調として「気虚(ききょ)」という体質タイプが収録されています。気虚のチェックシートには、「疲れやすい」「元気が出ない」「風邪をひきやすい」「胃腸が弱くなる」「むくみやすい」「息切れしやすい」といった項目が並んでいます。

これらは多くの人が「なんとなく不調」と感じるときの典型的なサインです。東洋医学では、こうした状態を「気が足りていない」と捉え、消化の負担を減らすだけでなく、気そのものを補うことが体を整える一手になると考えます。

更年期を迎えた女性の多くが、「以前と同じように動いているのに疲れが取れない」と感じることがあります。薬膳の視点では、この時期は身体的・精神的なエネルギーの消耗が補充を上回りやすい状態が続きやすいと考えられています。気虚のチェック項目と重なる不調が現れやすい時期のひとつとされています。「疲れやすい」「元気が出ない」「むくみやすい」といったサインには、気の消耗という視点が食の選び方を見直すうえでの手がかりになるかもしれません。

つまり、消化の良いものを食べることは確かに胃腸への負担を減らします。ただ、それだけでは「気の不足」そのものは補われません。同じ「食べる」という行為でも、気を補う食材を選ぶことで、体の内側からのエネルギー補給につながるというのが薬膳的な考え方なのです。

弱っているとき、何を食べたらいいのか

先生によると、疲れや体力低下を感じているとき、現代の感覚では「胃に優しいもの」「さっぱりしたもの」を選びがちですが、薬膳的には「気を養える食材かどうか」という視点が大切だそうです。

小林先生が発信を通じて繰り返し伝えているのは、「特別なものを食べなくていい、日常の食材の選び方を少し変えるだけでいい」という考え方です。薬膳が難しく感じられる理由のひとつは、生薬や見慣れない食材のイメージがあるからかもしれません。けれども先生が勧めるのは、スーパーで手に入る身近な食材ばかりです。

気を養う薬膳食材5選

気を養うアプローチとして薬膳で活用される代表的な食材を5つご紹介します。

【山芋(ながいも)】

陰にも陽にも偏らず、体質を問わず取り入れやすいとされています。体を穏やかにサポートする食材として薬膳では知られており、弱ったときの食事に取り入れやすい選択肢のひとつです。すりおろして食べるほか、ご飯に混ぜたり、スープに加えたりと使い方も多様です。胃腸の疲れが出やすいときや、消化力が落ちていると感じるときは、加熱してスープや煮物に入れると胃腸への負担をさらに抑えられると言われています。

【パイナップル】

夏を代表する果物であるパイナップルも、薬膳で取り入れられる食材です。瑞々しく喉の渇きを潤してくれるパイナップルは、発汗で失われた水分を補給するのにピッタリ。食欲が低下した際に冷やしていただくのも良いですね。パイナップルは消化を助ける効果があるとされており、お肉と合わせるのもおすすめです。

【かぼちゃ】

お腹を穏やかに温め、日々の健やかなエネルギーの土台を支える食材として薬膳では知られています。優しく消化され、体が少し弱っているときでも食べやすいため、日常の食卓に取り入れやすい食材です。煮物・スープ・蒸し料理など、和洋問わず幅広い料理に使えます。ゆっくり煮込んで柔らかくすることで、消化しやすい形で体に心地よい温かさを届けてくれると考えられています。

【鶏肉】

体を穏やかに温めながら元気を補うと言われており、薬膳でも活用されてきた食材のひとつです。消化への負担が比較的少ない白身に近い部位(ムネ・ささみ)から取り入れるのが、体力が落ちているときには適していると言われています。小林先生はInstagramで薬膳の鶏がゆを紹介しており、鶏ささみ・ご飯・おろし生姜の組み合わせに触れています。温性の鶏肉を消化しやすいおかゆに仕立てることで、胃腸にやさしい形で温性の鶏肉を取り入れるアプローチです。

【黒豆】

東洋医学で大切にされる「腎(じん)」のケアにも活用されてきた食材として知られており、日々の食養生の一品として薬膳で重宝されてきました。正月の黒豆煮のほか、黒豆茶として日常的に取り入れるのも手軽な方法のひとつです。急いで大量に食べるよりも、少量を毎日継続して取り入れる方が薬膳的な体質づくりの考え方に合っているとされています。

特別な食材じゃなくても、ちゃんと整う


なんとなくだるい、体がなかなか動かない…。先生によると、新しい環境や季節の変わり目は、知らないうちに疲れが溜まりやすい時期だといいます。そんなときこそ「体をやさしく整えるごはん」を意識してほしいと、先生は発信を通じて繰り返し伝えています。

薬膳というと、生薬や見慣れない食材が必要というイメージを持つ方は少なくありません。けれども先生が勧めるのは、スーパーで日常的に手に入る食材ばかりです。特別なものを揃えるより、今ある食材の選び方を少し変える。その積み重ねが、薬膳が大切にしている体の整え方です。

薬膳的な体力の整え方

薬膳には「未病(みびょう)」をケアするという大切な考え方があります。冷えや便秘、肩こり、寝ても取れない疲れなどは、すべて病気の一歩手前である「未病」のサインと捉えます。病気になってから慌てて対処するのではなく、そのサインに気づいた段階で食から整えていくことが、薬膳が大切にしている発想です。

疲れが出てから対処するより、日常の食事に気を養う食材を少しずつ取り入れておくことで、疲れにくい体の土台を作っていくというアプローチです。

特別な食材や難しいレシピは必要ありません。今日の食事に、なつめを一粒加える。かぼちゃの煮物を一品足す。そんな小さな積み重ねが、体の土台を整えていくと、薬膳では考えられています。

おわりに

体がなんとなく重い、元気がわかない。そう感じているときには、食材の選び方を少し変えてみることが、変化のきっかけになるかもしれません。
ゆらぎ世代の悩みに寄り添ってくれる食材を選んで、体を内側から労わってみませんか。

ゆうの

ライター歴23年目、3人の子どもを育てるシングルマザー。 お酒と編み物、横浜DeNAベイスターズが好き。

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