クローゼットの奥に、着なくなった浴衣はありませんか。
花火大会や夏祭りに着ていたあの浴衣。子どもが大きくなって出番がなくなった浴衣。柄は好きなのに、ここ数年袖を通していない浴衣。浴衣は着物よりも気軽に切ることができる分、何着もお持ちの方も多いかもしれませんね。
この記事では、浴衣1枚でできるリメイク作品の例と、浴衣リメイクをはじめるための基本を、和裁士の松田実央先生の知見をもとにご紹介します。

着物・浴衣のリメイクはミシンがなくてもできる
「着物や浴衣のリメイクは特別な道具や技術が必要そう」「ミシンがないとできない」と感じている方も多いかもしれません。
実は、リメイクの入口として最も扱いやすい素材は、絹の着物でも化繊でもなく、浴衣なのです。和裁士として18年以上、800着を超える着物と向き合ってきた松田実央先生が、「浴衣は断然扱いやすい」と教えてくれました。初心者が縫いやすいのは、浴衣か木綿の着物だそうです。
なぜ浴衣がここまで扱いやすいのか。素材と、価格、そしてお手入れのしやすさにあるようです。
ミシンがなくても大丈夫
松田先生が教えるのは、ミシンを使わない手縫いのリメイクです。和裁は着物を手縫いで縫う技術で、縦横の織り目の間を縫っていくため生地を傷めません。一方ミシンは生地目を突き破るため傷みやすいことで知られています。
手縫いで縫われているからこそ、着物はほどけば1枚の布に戻り、縫い直しがきく構造になっているのです。針と糸を用意するだけで、リメイクできるなんて素敵ですよね。
木綿素材は、洋服生地と同じ感覚で扱える
浴衣の多くは木綿でできています。正絹(シルク)の着物は水に弱く、洗うと縮んだり水シミが出たりするため、リメイク前の下処理に注意が必要です。
けれども木綿は濡れても平気で、難しい注意点もありません。普段の洋服を縫うのと同じ感覚で扱えるのだとか。
単価が低いから、試しやすい
絹の着物と比べると、浴衣は手に入りやすい価格帯のものが多くあります。「まずリメイクを試してみたい」という方にとって、心理的なハードルが低いのも浴衣ならではです。
虫食いがあっても、あきらめなくていい
木綿素材は虫食いが起きやすい素材でもあります。ただ、虫食いがあるからといって使えないわけではありません。
「仕立てる前にきちんと確認して、目立つ場所に虫食いが出ないよう裁断すればリメイクできる」と先生。
浴衣1枚で、ここまでできます

▲Instagram@kitsuke_saasaさんが作った浴衣のワンピース
では実際に、浴衣1枚から何が作れるのでしょうか。松田先生の講座に参加した生徒さんたちの実例を交えながらご紹介します。
甚平(大人サイズ)
浴衣1枚から大人の甚平が作れます。着物の構造は「1枚の布が縫い代で繋がっている」ため、うまく解いて裁断し直すことで、別のウェアとして生まれ変わらせることができます。甚平は比較的シンプルな形のため、リメイクのはじめの1枚としても取り組みやすいのではないでしょうか。
ワンピース+共布バッグ
浴衣からワンピースを仕立て、残った生地で共布のバッグを作るというセットも、生徒さんたちの間で人気だそうです。同じ柄のワンピースとバッグが揃うのは、既製品では難しい、着物リメイクならではの楽しみ方。花火大会や夏の集まりに、そのまま持っていける1セットになります。
髪飾りなどの小物

▲浴衣からワンピースを作った余り布を使った小物
ワンピースや甚平を作った後に残るハギレも、髪飾りやポーチ、巾着などの小物に変えられます。「1枚の浴衣を使い切る」という発想で取り組むと、捨てる布がほとんど出ません。素材への敬意と、創る楽しさが同時に得られるのも着物リメイクの醍醐味です。
日傘
夏の必須アイテム日傘も、浴衣リメイクで作ることができます。柄あわせをした日傘は、どこにもない1点もの。夏のお出かけがより楽しくなります♪
おわりに
着なくなった浴衣に心当たりがある方。
浴衣のリメイクは、洋服と同じ感覚で扱えて、ミシンも要りません。タンスの肥やしになっている浴衣を、今年の夏はリメイクしてよみがえらせてみませんか。
※本記事は、監修者の知見および公開情報をもとに編集部が制作したものです。素材の状態や扱い方は個々の着物・浴衣により異なります。実際のリメイク作業の際は、素材に合わせた適切な方法でお試しください。