50代に入ったころから、なんだか気分が晴れない日が増えた。
理由もなく落ち込んだり、些細なことでイライラしたり。そういえば、お腹の調子にも波がある。
そんな「なんとなくの不調」を、年齢のせいだと諦めていませんか。
でも、更年期世代の気分の揺れとお腹の不調には、共通の原因が隠れているのかもしれません。
鍵を握るのは、実は腸なんです。

レシピの数字ではなく香りや色、手触り、温度で菌の状態を読む「五感で麹菌と対話する」独自メソッドを確立。米・麦・玄米・黒麹を目的や体調で作り分ける技術を、6ヶ月のコーチング型講座で伝えている。
対面麹づくり講座や、酒蔵をめぐる「発酵遠足」も開催。麹と発酵の知恵、そして麹づくりの楽しさを通して、家族の健康を自分の手で守れる人を増やすことを使命に活動中。
気分の浮き沈みは年齢のせい?

理由もなく気持ちが沈む日が続くと、つい「歳のせい」「性格のせい」と片づけてしまいますよね。年齢を重ねた体は、ホルモンや生活リズムの変化で「ゆらぎやすい」時期に入ります。
けれど、その揺れを「気の持ちよう」で済ませても、つらさは変わりませんよね。
実は、ゆらぎ世代の不調の原因のひとつに「お腹の状態」があることをご存じでしょうか。
その気分の波、心の問題ではないかもしれません
お腹と心は、思っている以上に深くつながっています。更年期世代の「気分の揺れ」と「お腹の不調」は、別々のことのようでいて、じつは腸を通じてつながっているのです。
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど多くの神経細胞が集まり、脳と双方向に情報をやりとりしています。
緊張するとお腹が痛くなる、不安だとお通じが乱れる。反対に、お腹がスッキリすると気分まで軽くなることもありますよね。
気分の波を「心の弱さ」だと責めていると、この「お腹と心のつながり」を見落としてしまいます。
30年お腹を下し続けた、みちこうじ先生の話
この「お腹から整える」という発想の背景には、本記事の監修であるみちこうじ先生自身の体験があります。
先生は子どもの頃から30年ものあいだ、ほぼ毎日お腹を下し続けてきたそうです。
それが、塩を塩麹に変えるなど、麹を暮らしに取り入れるうちに、お腹の調子がみるみる落ち着いていったとか。「ひとさじの麹をいつもの調味料に置き換えるだけで、ゆるっと腸活できた」と先生は振り返ります。
とはいえ、お腹を整える道は、食事だけではありません。
強いストレスや寝不足が続くと、自律神経のバランスが乱れ、お腹の調子も波打ちます。だからこそ、食事だけを頑張るのではなく、睡眠や休息も含めて整えていくこと。
ゆらぎ世代だからこそ、体の声に、そっと耳をすませてあげたいですね。
先生がどんなふうに麹と向き合ってきたのか、その手しごとをもっと知りたい方のために、記事の最後でご案内もご用意しています。
頑張りすぎず、「整える」という発想

とはいえ、「腸を整えれば、すべてが解決する」わけではありません。
毎日の食事や暮らしを少しずつ整え、体が本来持つ働きをやさしく支える。腸活は、そのための土台づくりの一つです。
発酵食品を食べることだけが腸活ではありません。菌を入れるだけでなく、菌が育ちやすい環境を整えること。発酵食品、食物繊維、睡眠、運動、ストレスケア。
そんな小さな積み重ねが、土台になります。
ひとさじの麹から
「腸活」といっても、むずかしく考えなくて大丈夫です。まずは塩を塩麹に変えてみる。少しの変化でも、無理なく続けることが、何よりのポイントです。
腸活のコツは、「菌」と「菌のエサ」をセットにすること。
発酵食品で菌の力を取り入れ、食物繊維やオリゴ糖で、その菌を育てる。味噌や納豆といった大豆の発酵食品は、昔から和の食卓を支えてきた、身近な腸活の味方です。たとえば、お味噌汁に野菜やきのこをたっぷり入れたり、納豆に塩麹を小さじ半分混ぜてみたり。いつものスープの塩を塩麹に置き換えるのも、手軽な一歩です。それだけで十分です。
ここに「よく噛んで食べる」「しっかり眠る」が加われば、もう立派な腸活なんです。
生麹と乾燥麹の選び方

発酵食品を選ぶとき、麹の種類まで気にすることは少ないかもしれません。
監修のみちこうじ先生によると、市販の麹の多くは保存性を高めるために乾燥させて水分を飛ばしてあり、生麹に比べると麹菌の酵素の働きがおだやかになっているそうです。いっぽう、水分を含んだままの生麹は麹菌の持つ酵素が活発で、発酵の力を受け取りやすいといいます。
とはいえ、乾燥麹がよくないわけではありません。扱いやすく日持ちするので、暮らしに合わせて選べば十分だと先生。大切なのは、完璧な選択より、続けられること。
まずは手に取りやすいものから、はじめてみませんか。
その日の体調で麹を選ぶ
麹にいくつもの種類があることを、ご存じでしょうか。
先生は、米麹・麦麹・玄米麹・黒麹を、何の発酵食品を仕込むかや、相手の好きな甘さの加減などに合わせて使い分けているとか。
米麹はやさしい甘み、麦麹は香ばしさ、玄米麹は素朴なコク、黒麹はすっきりとした酸味。気分がしずみがちな日は、ほっとする甘みの米麹を選ぶ。重たく感じる日は、後味の軽い黒麹を合わせる。
正解を一つに決めず、その日の自分に寄り添って選ぶ。そんな会話のような楽しみ方も、発酵の魅力のひとつです。
おわりに
気分の波も、お腹の不調も、「年齢だから」と一括りにしなくて大丈夫です。
お腹を整えることは、お腹の調子だけでなく、心の土台を整えることにもつながります。
今日はお腹が軽いな、なんだか気分がいいな。そんな小さな心地よさを、ひとつずつ積み重ねてみませんか。
体調や症状で気になることがあれば、専門家にご相談くださいね。